あなたは、太く短く生きるか、長く細く生きるかを選ぶとしたら、どちらにしますか。
Netflixアニメ「サイバーパンクエッジランナーズ」は、「サイバーパンク2077」というゲームを原作としたアニメーションで、2022年に全10話で公開されました。
現在でもNetflix限定で視聴可能です。

ゲームでは伝説として語られている「デイヴィッド・マルティネス」を主人公とした、スピンオフ形式のアニメーションです。
若干17歳の少年が、伝説を残すまでの物語が描かれています。
非常に面白く、心に残る作品でしたので、今回は「サイバーパンクエッジランナーズ」の見どころと感想をまとめていきたいと思います。
最後までお読みください。
Netflixアニメ「サイバーパンクエッジランナーズ」のあらすじ
多額の学費がかかるアカデミーに通うデイヴィッド・マルティネスは、周囲に馴染めず、辛い境遇で暮らす中で、母親と残虐なブレインダンスだけが心の拠り所であった。
ある日、ギャングの抗争に偶然巻き込まれたデイヴィッドは、母親を亡くし、引き換えに軍用サンデヴィスタンを手にする。
身につけると周囲の時間が遅くなったと認知するほどの高速移動で動けるようになるものだが、身につけた人間は徐々に人間性をむしばまれていく。
何も失うものがなくなったデイヴィッドはサンデヴィスタンを身につけたが、それが彼のサイバーパンクとしての人生の始まりだった。
Netflixアニメ「サイバーパンクエッジランナーズ」の4つの見どころ
舞台は世紀末の近未来である街「ナイトシティ」
ナイトシティは治安が崩壊しており、車の運転手が銃で脅されている風景や、事件で血だまりが放置されている状況は日常茶飯事。
他人の目を気にせず、野外でポルノを見てマスターベーションに耽っている者もいれば、階段で嘔吐しているものもいるなど、倫理観というものは消え落ちているのです。
デイビッドが学校に行くシーンだけで、ナイトシティがどういう場所なのかが分かります。
人々が夢と希望をもって集まる大都会の現実は、作中の人物から「光の牢獄」と形容される動物園で、人間はそこに飼われているようなものです。
そのようなぶっ飛んだ世界観だからこそ、ぶっ飛んだ過激な表現がいくつもあり、余すことなくそれら映しているのも、このアニメの見どころだといえます。
軽すぎる命の価値
あらすじにもあるように、デイヴィッドの母親は事故で亡くなります。
火葬が終わった母親の遺灰は、自動販売機の缶ジュースのように扱われ、何もかもが事務的に進んでいきます。
しかし、デイヴィッドや視聴者が母親の死を受け入れるよりも早く物語は展開していき、死人を悼む暇などありません。
命の軽さは、今後も同じように描写されていきます。
これだけ命の軽さを見せつけられると、ナイトシティではどう生きるかじゃなく、どう死ぬかだという言葉の説得力が増します。
いつ、ゴミのように死ぬか分からない世界では、どのようにして死ぬかというのは、自分の尊厳を守るために重要なことなのです。
デイヴィッドとルーシーの恋物語
サンデヴィスタンを身につけたデイヴィッドは、電車内でスリをしていたルーシーという少女を取り押さえるという形で、この二人は邂逅します。
デイヴィッドはルーシーに出会ったことで人生が一変します。
アカデミーでひどい扱いを受けていたころとは違う、自分の事を親身に見てくれる仲間ができたのです。
デイヴィッドは人生を変えるきっかけになったルーシーに惹かれ、ルーシーもまた太陽のように周囲を照らすデイヴィッドに惹かれていきます。
ですが、あらゆる障害が二人を引き離していくのです。
二人の切なく儚い恋物語も、この作品の見どころだといえるでしょう。
魅力あふれる仲間たちとの絆
サイバーパンクとなったデイヴィッドは、どん底から一転、多くの仲間に囲まれて生きることになります。
何もなかった自分に生きる場所を与えてくれた仲間たちは、デイヴィッドにとって生きる意味となるのです。
個性豊かで、気さくでいい奴ら。
彼らの命も刹那的なものです。
死にゆく仲間たちの思いを背負うデイヴィッドの行きつく先は…
Netflixアニメ「サイバーパンクエッジランナーズ」の感想4選(ネタバレ注意)
背負った思いは夢か呪いか
デイヴィッドは、夢など見ない現実的なリアリストです。
彼は、他人の夢や思いを背負っていくことに生きる意味を見出し、不幸な目に遭い続けていくのです。
物語序盤では母親の思いを背負って学校で辛い目に遭い、後半では父のように接してくれたメインの思いを背負って、仲間たちを率いる強さを引き換えにサイバーサイコシスという精神病に苛まれていきます。
何より、ルーシーを助けるため、ルーシーの月へ行きたいという夢のために、デイヴィッドは人間性と引き換えにサイバースケルトンをインストールしてルーシーを助けに行くことにするのです。
最後はルーシーに、夢をかなえてほしいという思いを伝え、デイヴィッドは死んでしまいます。
ルーシーは一人で月へ向かい、かつてデイヴィッド一緒に見た月のブレインダンスを思い返します。
ですが、そこにデイヴィッドはいません。
お互いに自分よりも相手に生きていてほしかったデイヴィッドとルーシー。
最終的に支えきれなくなって自壊したサイバースケルトンのようにデイヴィッドはその思いを背負いきれませんでした。
一方で、デイヴィッドの生きて夢を叶えてほしいという思いを背負うルーシー。
月へ行くことよりも大切な、デイヴィッドを失った彼女のその後は、苦難が待ち受けているでしょう。
大切な人の思いを背負って苦しむ二人。
大切な人の思いは、大切な人を苦しめる呪いとも言えます。
お互いに思いあっているのに、かえって相手を苦しめるというのは、とても皮肉なことです。
人の心に伝説を刻み付けたデイヴィッド
ゲーム内では、伝説となったサイバーパンクの名前を元にしたカクテルとしてデイヴィッドの名前が登場します。
そのカクテルの説明欄に書かれているのは、「高みを目指して派手にくたばれ。」
デイヴィッドが人の心に残る伝説となったように、このアニメは私の心に強い印象を刻みこみました。
忘れられたときに人が死ぬのだとしたら、デイヴィッドは人々の心に残り、長い時間を生き続けるでしょう。
月並みのハッピーエンドではこうはいかなかった。
儚い最後だったからこそ、デイヴィッドも、このアニメも人々の心に残り続けるのでしょう。
それでも、デイヴィッドやルーシー、レベッカをはじめとしたほかの仲間にも、生きて幸せになってほしかったと願わずにはいられません。
心に刻まれるのは、痛みが伴います。
苦しい最後だったけれども、とても素晴らしい作品だったと私は思います。
月並みの幸福は許されないのか
ただ、愛する人と一緒にいたいという月並みな幸福も許さないナイトシティ。
デイヴィッドが軍用サンデヴィスタンをインストールした時点でアラサカに目をつけられており、破滅は免れられませんでした。
一方で物語の開始時点で大量の負債を抱えていて、崖っぷちのデイヴィッド。
それでも、軍用サンデヴィスタンをインストールしなかったら、彼はどうなっていたのでしょうか。
負債を返すために、サンデヴィスタンなしで動いていたら。
運よく命を落とさなかったとしても、アパートにたむろする浮浪者と変わりない生活を送っていたというのは想像に難くありません。
道端でブレインダンスを使ってマスターベーションに耽っていた人間のように、物語開始時点のような残虐なブレインダンスの記録を使って楽しんでばかりになるかもしれないでしょう。
ですが、それらは端から見れば気持ちの悪いものですが、本人は幸福に浸っているのです。
ルーシーと出会うこともありませんが、それでも幸福を見つけているという事になります。
サイバーパンクという世界では、気高く苦しむか、無様に幸せになるかという選択しか残されていません。
あなたならどちらを選びますか。
生きざまと死にざま
「どう生きるかじゃない、どう死ぬかだ」
ゲームでもアニメでも、これがナイトシティという街を語っています。
ですが、最後にルーシーが思い返したのは、アダムスマッシャーを足止めして死んだデイヴィッドではなく、一緒に月のブレインダンスを見たときのデイヴィッドでした。
本当に大切な人に残るのは、伝説として語られる死にざまではなく、等身大の生きざまなのです。
デイヴィッドは、自分の生きざまの尊さには最後まで思い至らず、人の思いを背負い続けて崩れ落ちました。
守りたかったものは、自己満足の願いか、他人の宝物か。
デイヴィッドとルーシーがお互いを思い続けているのにすれ違ってしまうのは、とても残念でやりきれなかったです。
Netflixアニメ「サイバーパンクエッジランナーズ」の原作ゲームを楽しもう!
原作となった「サイバーパンク2077」は、現在PS5、Xbox、steam、switch2などでプレイすることができます!
この機会にプレイしてみてはいかがでしょうか。
また、現在サイバーパンクエッジランナーズのシーズン2が予告されています。
これを機にアニメを見返してみましょう!

 
  
  
  
  

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